きのこの石づきを捨てずに美味しく使い切り!旨味を活かす活用法と賢い保存術
きのこの石づきを捨てずに美味しく使い切り!旨味を活かす活用法と賢い保存術
きのこ類は日本の食卓に欠かせない食材ですが、調理の際に「石づき」と呼ばれる部分を切り落としてしまうことが一般的です。多くの方にとって、石づきは食べられない部分、あるいは価値のない部分として認識され、そのまま捨てられてしまうことが多いのではないでしょうか。しかし、実はこの石づきにも、きのこ本来の旨味成分が含まれており、捨てるのは非常にもったいないことなのです。
当サイト「野菜使い切り辞典」は、食品ロス削減に関心をお持ちの皆様に向けて、余りがちな野菜や捨てられがちな部分を美味しく使い切るための情報を提供しております。今回は、きのこの石づきに焦点を当て、その旨味を最大限に活かす方法や、賢く保存して無駄なく使い切るための具体的なテクニックをご紹介します。
きのこの石づきとは?なぜ活用すべきなのでしょうか?
きのこの石づきは、きのこが成長する過程で菌床や原木と繋がっていた、株の根元にあたる部分を指します。見た目が硬く、土などが付着していることもあるため、食感や衛生面から切り落とされてしまうのが一般的です。
しかし、この石づきには、きのこに含まれる旨味成分であるグアニル酸などの核酸が多く含まれています。特に、切りたての新鮮な石づきは、きのこの風味と旨味が凝縮されていることもあります。
石づきを捨てることなく活用することは、単に食品ロスを削減するという環境負荷低減の観点だけでなく、食材の持つポテンシャルを最大限に引き出し、料理に深みと風味を加えるという美食の観点からも価値があります。また、きのこを「まるごと」使い切ることで、家計にも優しい選択となります。
きのこの種類によって石づきの特徴は少し異なります。
- ぶなしめじ、えのきたけ: 株の根元が硬く、切り落とす部分が比較的多いです。
- エリンギ: 軸の太い根元部分が硬くなります。薄切りにしたり、加熱時間を調整したりすることで美味しくいただけます。
- まいたけ: 根元に硬い塊がありますが、手でほぐせる部分も多いです。硬い部分を切り落とします。
- しいたけ: 軸の先端部分が石づきにあたります。軸全体には旨味がありますが、先端は硬い場合があります。
きのこの石づきの下処理と賢い保存法
きのこの石づきを活用するためには、適切な下処理と保存が重要です。
基本的な下処理
- 汚れを落とす: 石づきに付着している土や菌床のかけらを丁寧に洗い流すか、キッチンペーパーなどで拭き取ります。洗いすぎると風味が落ちる可能性があるため、汚れがひどい場合以外は拭き取りをおすすめします。
- 硬い部分を見極める: 種類にもよりますが、明らかに硬く木質化した部分は食感が悪いため、切り落とします。包丁で切り分ける際に、硬さで判断することができます。ぶなしめじやえのきたけの株の根元は、まとめて硬い部分を切り落とします。エリンギの根元は、周囲の硬い部分を薄く切り落とすようにすると良いでしょう。
- ほぐす・切る: 株になっているきのこ(ぶなしめじ、えのきたけ、まいたけ)の石づきは、手で小房にほぐしたり、包丁で使いやすい大きさに切ったりします。しいたけの軸は、根元部分を切り落としたら、縦に裂くようにすると食感が楽しめます。
賢い保存法
すぐに使わない石づきは、冷凍保存がおすすめです。きのこ類は冷凍することで細胞壁が壊れ、旨味成分が出やすくなるという利点もあります。
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冷凍保存:
- 下処理済みの石づきを使いやすい大きさに切るか、ほぐしておきます。
- 重ならないように広げ、冷凍用保存袋に入れます。
- しっかりと空気を抜いて密閉し、冷凍庫で保存します。
- 約1ヶ月程度保存可能です。
- 使用する際は、凍ったまま加熱調理してください。解凍すると水分が出て食感が損なわれることがあります。汁物や炒め物、炊き込みご飯などに凍ったまま加えられます。
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乾燥保存(パウダーなど):
- 石づきを薄くスライスし、天日干しするか、食品乾燥機で乾燥させます。
- 完全に乾燥したら、ミルなどで粉末状にします。
- 乾燥剤を入れた密閉容器に入れ、常温で保存します。
- 乾燥させることで旨味が凝縮され、パウダーにすると様々な料理に少量加えるだけで風味が増します。スープやソース、炒め物の隠し味に利用できます。
きのこの石づき活用レシピ例
下処理・保存したきのこの石づきは、様々な料理に活用できます。その旨味を活かした具体的なレシピをいくつかご紹介します。
レシピ例1:きのこの石づきと野菜くずで作るベジブロス
最も簡単で、きのこの石づきの旨味を最大限に引き出せる活用法です。他の野菜くず(玉ねぎの皮、にんじんのヘタ、セロリの葉など)と一緒に煮込むことで、風味豊かな万能だしができます。
- 材料:
- きのこの石づき(各種): 50g程度
- その他の野菜くず(玉ねぎの皮、にんじんのヘタ、セロリの葉など): 150g程度
- 水: 1リットル
- ローリエ(お好みで): 1枚
- ブラックペッパー(ホール、お好みで): 5粒程度
- 作り方:
1. 鍋にきのこの石づきと野菜くず、水を入れます。
2. 強火にかけ、沸騰したら弱火にします。
3. アクを丁寧に取り除きながら、蓋をせずに30分〜1時間煮込みます。
4. 火を止め、粗熱が取れたらキッチンペーパーなどで濾します。
5. 冷蔵庫で保存し(3〜4日)、スープやリゾット、煮込み料理などに使用します。冷凍保存も可能です。
レシピ例2:刻み石づきの旨味たっぷり炊き込みご飯
刻んだ石づきは、炊き込みご飯に加えると良い出汁となり、食感のアクセントにもなります。
- 材料:
- 米: 2合
- 下処理・冷凍したきのこの石づき(各種): 50g程度(凍ったまま)
- 醤油: 大さじ2
- みりん: 大さじ1
- 酒: 大さじ1
- 和風顆粒だし: 小さじ1/2
- 水: 炊飯器の2合の目盛りまで
- 作り方:
1. 米を研ぎ、炊飯器の内釜に入れます。
2. 醤油、みりん、酒、和風顆粒だしを加えます。
3. 水を2合の目盛りまで注ぎ入れ、軽く混ぜます。
4. 凍ったままのきのこの石づきを加え、平らにならします。
5. 通常通り炊飯します。
6. 炊き上がったら全体を混ぜて完成です。
レシピ例3:きのこの石づき(エリンギなど)のガーリックバターソテー
比較的硬さのあるエリンギなどの石づきは、薄切りにしてしっかり加熱すると美味しくいただけます。
- 材料:
- エリンギの石づき(下処理済み): 根元2〜3個分
- ニンニク: 1かけ(薄切り)
- バター: 10g
- 醤油: 少々
- 塩、こしょう: 少々
- オリーブオイル: 小さじ1
- 作り方:
1. エリンギの石づきは、硬い部分を薄く切り落とし、本体と同様に5mm厚さ程度の薄切りにします。
2. フライパンにオリーブオイルとニンニクを入れて弱火で熱し、香りを引き出します。
3. エリンギの石づきを加えて中火で炒め、焼き色がついて柔らかくなるまでしっかり加熱します。
4. バターを加えて溶かし、醤油を回し入れます。
5. 塩、こしょうで味を調えて完成です。
食品ロス削減と石づき活用の意義
きのこの石づきを使い切ることは、私たちの食生活における食品ロス削減に貢献する小さな一歩です。家庭から出る食品ロスを減らすことは、ごみ処理にかかるエネルギーや環境負荷を軽減し、持続可能な社会の実現につながります。
また、これまで捨てていた部分を活用することで、食材の可能性を再発見し、料理の幅を広げる楽しみも得られます。石づきに含まれる旨味を意識して料理に取り入れることは、味覚の新しい発見にもつながるでしょう。
まとめ
きのこの石づきは、決して捨てるべきだけの部分ではありません。適切な下処理と保存を行い、ベジブロスや炊き込みご飯、炒め物など、様々な料理に活用することで、きのこをまるごと美味しく使い切ることができます。
ぜひ今日から、きのこの石づきを捨てずに、その隠れた旨味を活かしてみてはいかがでしょうか。食品ロス削減に取り組みながら、より豊かな食卓を実現するための一助となれば幸いです。
「野菜使い切り辞典」では、これからも皆様の食品ロス削減と美味しい食生活をサポートする情報をお届けしてまいります。